【開催報告】InfoSyEnergy第7回公開シンポジウム「エネルギー・医療 新産業創成に向けて」2026年1月16日開催
年 1 回開催する本シンポジウムは、ISE の理念と活動を広く一般に報告する機会として位置づけられており、第 7 回目となる今回は「エネルギー・医療 新産業創成に向けて」をテーマに開催しました。当日は学内外から多くの参加者が来場し、エネルギーと医療の融合を軸に、新産業創出に向けた最新の知見と議論が交わされました。
※コンソーシアムのメンバーの方は、会員限定ページにて講演資料およびビデオがご覧いただけます。
① 開会挨拶
開会にあたり、大竹尚登理事長より東京工業大学と東京医科歯科大学の統合により誕生した東京科学大学が掲げる「善き未来」の実現に向け、異分野融合研究を全学的に推進していく姿勢が語られました。 また、国際卓越研究大学候補に選定されたことも紹介され、改革期にある大学としてエネルギー・医療分野の融合が重要な戦略領域であると強調されました。


② InfoSyEnergy 研究/教育コンソーシアム 活動概要/報告
ISE 代表の伊原学教授(物質理工学院 応用化学系)より、本コンソーシアムの 2025 年度活動報告が行われ、国際ワークショップや共同研究、博士人材育成プログラムの推進に加え、分散型電源・データセンターの取り組みやカーボンニュートラル技術の共同研究など、研究と教育を一体的に進める活動が紹介されました。
③ 趣旨説明
続いて、本シンポジウムの趣旨説明では、ISE副代表の木村好里教授(物質理工学院 材料系)より、統合により拡大した大学の研究基盤を活かし、異分野研究者が協働することで社会課題の解決に資する価値創出を行う場として、本シンポジウムが位置付けられていることが述べられました。


④ 基調講演「医工連携に不可欠な実質的グローバル体験を通した人材育成」
基調講演では、三島良直東京科学大学名誉教授を講演者としてお招きし、「医工連携に不可欠な実質的グローバル体験を通した人材育成」と題して、医工連携を軸とした新産業創出の鍵は「実質的なグローバル体験に基づく人材育成」にある旨、講話いただきました。 中でも MIT や Harvard の研究現場から得られた知見をもとに、スタートアップ・VC・大学・企業が連携する米国のエコシステムをご紹介いただき、国際共同研究を推進し、挑戦的研究を可能にする環境を整備することが、医療・エネルギー分野双方のイノベーションに不可欠であると強調されました。
⑤ 講演「6 つの VI と “GX Frontier”」
後藤美香教授(環境・社会理工学院)からは、東京科学大学が全学的に導入した「Visionary Initiatives(VI)」と、その一領域である「GX Frontier」の取り組みが紹介されました。 VI は「善き生活・善き社会・善き地球」を実現するための横断型研究組織であり、学内外の境界を越えて社会課題の解決を目指す一方、GX Frontier では、次世代エネルギー材料開発、国際研究連携、社会実装モデル構築など、カーボンニュートラル達成に向けた多面的な研究が推進されていることについて説明頂きました。


⑥ 講演「医工連携で心臓を診る」
笹野哲郎教授(大学院医歯学総合研究科 循環制御内科学分野)からは、心房細動の増加と心原性脳塞栓症の深刻さを踏まえ、医工連携による新しい診断技術の可能性について講演いただきました。 AI 解析による 12 誘導心電図の高度化、スマートデバイスの活用、磁気センサを用いた心磁図など、生体データの多様な取得技術が診療の高度化に寄与すること、また、病院と研究者が同一空間で協働する「国際医工共創研究院」の取り組みによる、臨床ニーズを起点とした技術開発の重要性を強調頂きました。
⑦ 講演「グリーンアンモニア合成に向けた革新的固体触媒の開発」
北野政明教授(総合研究院 元素戦略 MDX 研究センター)からは、脱炭素社会におけるグリーンアンモニアの重要性と、その合成を支える革新的触媒研究が紹介されました。 従来のハーバー・ボッシュ法は高温・高圧を要し世界的なエネルギー消費負荷が大きい一方、新規エレクトライド触媒、ハイドライド触媒、遷移金属を用いない新材料触媒など、基礎科学の進展が低温・低圧プロセスの実現を後押し。スタートアップとの連携による実証プラント稼働など、産業化への動きも加速していることについて実例を交え、講演頂きました。



⑧ パネルディスカッション「エネルギー・医療 新産業創成に何が必要か?」
最後のパネルディスカッションでは、エネルギー・医療・経済・ビジネスなど多様な視点から、新産業創出に向けた課題が議論されました。 エネルギー分野ではグリーンアンモニアや CO₂変換技術、医療分野では AI 診断や生体データ活用など、いずれも社会実装可能なシーズが豊富である一方、研究と市場をつなぐ「ギャップ」や分野間の「分断」が共通の障壁として指摘されました。 異分野間の継続的な対話、シナリオ設計や市場分析といったアカデミアの新たな役割、そして若手研究者の挑戦を支える文化づくりが、新産業創出の鍵であるとの認識が共有されました。
ISE では今後も、様々な機会を通じて、多元的エネルギー学理とエネルギービッグデータ科学の融合を軸とした各種情報発信をして参ります。

