東工大InfoSyEnergy研究/
教育コンソーシアムとは?

東京工業大学は、平成30年3月20日に文部科学大臣から指定国立大学法人の指定を受けました。科学技術の最前線の開拓のために3つの重点分野を掲げました。その一つである“統合エネルギー科学”の強化のため、令和元年11月にコンソーシアムを発足いたしました。

本コンソーシアムでは、“ビックデータ科学”(AI解析+データ科学)を活用してエネルギー要素/システム/シナリオ研究を、教育プログラムと一体で推進し、新しいサステイナブルなエネルギー社会をデザインします。

挨拶

東京工業大学 学長 
益 一哉

Kazuya Masu,President of Tokyo Tech

東京工業大学は、2018年に「世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人」として文部科学大臣が指定する「指定国立大学法人」(全国で7大学)として選出されました。その際本学では、重点3分野の一つに「統合エネルギー科学研究」を設定し、学内の多様なエネルギー研究の強力な連携を推進する全学的枠組みを構築する計画を策定しました。

一方、エネルギー分野の人材育成では、2016年「分化と深化によって発展し、複雑化した学術を融合、再構造化し、俯瞰と知識の有効活用を可能にする学問領域である“多元的エネルギー学理”の開拓と、それら学問領域を習得した人材の育成」を目的とした複合コース、「東工大エネルギーコース」を設立しています。

近年、データを適切に分析し有用な情報を得るデータ科学や、ビックデータを活用したAI解析技術の著しい進歩は、エネルギー研究へも大きな変革をもたらしつつあり、これらの情報技術をどのように活用し研究を加速させるのか、そして、そのような人材をどのように育成していくのか、が重要な課題となってきました。また、世界に於けるエネルギー課題を考える際、エネルギーの科学的側面のみならず、経済の循環や社会システムに於ける人々の生活の価値にも目を向けた人文・社会科学系の視点も取り入れた統合エネルギー科学の重要性はますます高まってきています。

これらのことから、本学では“ビックデータ科学”を様々な研究に積極的に活用し、企業との総合的なエネルギー共同研究を実施するとともに、人文・社会科学系の俯瞰的視点をもつ特徴的な教育プログラムおよび企業との連携によって、次世代を担うエネルギー人材を育成する、研究と教育の一体的運営を行う、“InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアム”を2019年11月に設立致しました。これまで強力なエネルギー産学連携組織として役割を果たしてきた「先進エネルギーソリューション研究センター(AESセンター、センター長/柏木孝夫 特命教授)」、「グローバル水素エネルギー研究ユニット(GHEU、ユニットリーダー/岡崎健 特命教授)」でのコンソーシアム活動を本コンソーシアムに一本化し、さらにエネルギー産学連携研究を強化致します。

本コンソーシアムでは、学長、理事・副学長をはじめ環境・社会理工学院長の中井 検裕教授他、各部局長、エネルギー研究分野統括の竹下健二教授などの本学執行部がガバニングボードとなり、物質理工学院応用化学系 伊原学教授が代表を務めます。また、20名以上のマネジメント、事務メンバーがサポートし、教授、准教授70名以上が、ビックデータ科学を活用した新しいエネルギー研究のアプローチによって、様々な企業との共同研究を教員チームとして実施するほか、新たな教育プログラムを構築して人材育成を行います。

東工大が全学体制で取り組む“東工大 InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアム” をご支援いただけますよう、何卒よろしくお願い致します。

リンク: 東京工業大学グローバル水素エネルギー研究ユニット(GHEU)

東京工業大学 物質理工学院 教授 
伊原 学
(コンソーシアム代表)

Manabu Ihara,Professor,School of Materials and Chemical Technology
(Consortium Head)

気候変動を抑制しつつ経済を発展させることができる持続可能なエネルギー社会の構築は、早急に取り組まなければならない世界規模の課題です。ここ数年で、急速に再生可能エネルギーのコスト低減が実現し、 ESG投資(Environment Social Governance)の観点からの原子力や石炭火力への投資抑制等は,既に産業に大きな影響を与え始めています。また、大量な化学的蓄エネルギーとして機能する水素エネルギーを、適切なエネルギーキャリアにして世界規模で融通する「グローバル水素」、および、国内の再生可能エネルギーなどから生成し、ローカルに活用する「ローカル水素」は、将来の持続可能な新しいエネルギー社会構築には不可欠な技術として認知されるようになってきました。

そのような背景のもと、2019年11月に本学に設立した“InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアム”は、新たなエネルギー社会の構築に向けて、AI解析やデータ科学を融合した“ビッグデータ科学”(本学では“ビッグデータ科学”を,データ科学とAI解析と定義)をエネルギー分野の要素研究、システム研究に多様に活用し、デジタル化による持続可能な低炭素・脱炭素エネルギー社会への転換に、主導的役割を担っていくことを目的としています。ビッグデータ科学を活用し,新たな価値やサービスを創出することで、人々がエネルギー選択や環境行動等を意識せずとも環境と経済の両立を達成できるエネルギー社会を、本コンソーシアムでは,“Ambient Energy Society”(アンビエントエネルギー社会)と定義し,産学連携による実現を目指します。

本コンソーシアムの設立に際し、70名以上のエネルギー・情報を専門とする本学教授・准教授を中心に議論を重ね、9つのエネルギー研究重点分野を設定いたしました。「②再エネベースロード化技術」では、「①系統協調分散エネルギーシステム」との連携制御による系統安定化技術に加え,再生可能エネルギーをベースロードとする原子力発電の負荷変動運転に関する検討などを、本学先導原子力研究所などが主導して行います。また、本学の強みであるデバイス研究「③光エネルギー変換(太陽電池、光触媒など)」、「④水素 燃料電池・電解/蓄電池」や,これまでのエネルギーの量(kWh)や出力(kW)のみの価値から、調整力(ΔkWh、ΔkW)や低炭素化といったエネルギーの価値の多様化を視野に入れた「⑤電力自由マーケット設計・学内仮想取引」、グローバル水素の製造から運搬/貯蔵/利用に向けた「⑥エネルギーキャリア/脱炭素触媒」、大規模な水素エネルギー利用や熱エネルギーの有効活用を目指す「⑦水素燃焼・熱利用」,将来、エネルギー分野への貢献が期待される「⑧将来技術」、エネルギー社会の現在をデータを活用して分析、評価し、未来をデザインする「⑨技術動向/未来シナリオ/サービス」,といった9つの重点研究を、ビッグデータ科学を多様に活用し、産学連携で研究と教育を両輪で推進致します。

現在(2020.6)までに、26のエネルギー・情報関連企業,5の公的機関の国内機関のほか、14の世界トップ大学(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、シンガポール、韓国、中国)が会員として参画し、グローバルに活動していきます。引き続き、企業の皆様のご参画をお待ちしていますので、ご支援・ご協力いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

活動概要

各学院横断で全学から
教授・准教授70名以上が参画

東工大発信で新しいエネルギー社会を提案、牽引すべく、研究開発から未来社会デザイン、博士人材育成までが一体となった、新しい産学官連携プラットフォームを構築します。

主要9部門を編成し、
チーム型産学共同研究を提案、推進

エネルギー社会の未来像を共有して体系化した研究分野に”ビッグデータ科学”を取り入れ、1対1ではできない規模や階層の産学共同研究を実現します。

「未来のエネルギー社会を
デザインする人材」を産学協働で育成

「専門学理の軸」「多元エネルギー学理の軸」「ビッグデータ科学の軸」「ナノから社会の空間軸」「現在から将来の時間軸」を備えた人材を育成する連携教育体制を創出します。

学生と企業の人材戦略のマッチング、
体系的リカレント教育の実現

研究ワークショップやシンポジウム、教育イベントを通して学生・企業間のコンタクトポイントを多く確保するとともに社会 人参加型教育を充実します。

カーボンニュートラル社会の実現に向けたGXIとの連携

詳しくはこちら▶東工大「統合報告書2022」へ

会員・連携機関

会員・連携機関一覧はこちら >>







本コンソーシアムに
参加する東工大の主な教員

本コンソーシアムには東京工業大学の5つの学院(理学院、工学院、物質理工学院、情報理工学院、環境・社会理工学院)およびリベラルアーツ研究教育院、科学技術創成研究院から、「エネルギー×情報×未来社会」に関連する分野を網羅する70名以上の教員が参画します。

本コンソーシアムに関する
問い合わせ・入会申し込み先

東工大InfoSyEnergy 研究/教育コンソーシアムマネジメント業務統括室

〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1, NE-24
EEI棟(大岡山北3号館)613号室
E-mail:office[at]infosyenergy.titech.ac.jp